［ゲームマーケット16秋新刊］

ボードゲームを中心に制作する「ソリスト合唱団」によるオリジナルTRPGです（A4判24ページ、フルカラー）。

時の流れは、過去から未来へと一度進むものなのでしょうか？　いいえ、と答えるのが本作の舞台。ほとんどの人々は気付いていませんが、この世界は時が何度も繰り返されています。

PCはその秘密に気づき、時空を旅できる特別なキャラクター。永遠の繰り返す運命から解き放たれたいと願い、その願いを叶える「運命のクサビ」を購入するために、多時空間企業の依頼を受けて、さまざまな時空間を飛び回ることになります。

過去・未来、並行世界と移動が可能な世界のため、PCのバリエーションもさまざま。ビジネスパーソンやムービースター、魔法使い、超能力者、侍、アンドロイドなど、現在・過去・未来・異世界の住人にふさわしい12種類のクラスが存在します。

彼らが向かう世界はさまざまです。現代や戦国時代、未来と時間を行き来する者もあれば、超能力や魔法が存在する並行世界もあるでしょう。ある種カオスで、とても自由な舞台を選べるのは本作の魅力の一つと言えます。

そのセッションの舞台を表現したのが「時空レーダー」というマップ（サンプル画像3枚目）。このマップを移動しながら情報を集め、セッションの目的達成を目指します。例えば、戦国時代で本来は尼として一生を幽閉される女性から「幸せな結婚をする人生を送りたい」という願いを叶えるために、彼女の家族の住居や幽閉されている寺などを巡って情報を集め、彼女が自由になる術を模索する──といった流れが起こりえます。

その時代に降り立って以降はマップ上を移動しながら行動することになりますが、GMが許せば時空間を移動する前に、情報収集することもできます。本作ではセッションを1日を4つに区切ったクォータごとに進行し、必ず時間制限を設けるため、移動の手間を省ける情報収集は時間を有効活用するポイントになります。

また、この調査や移動、戦闘などの判定に使うのが一組のトランプ。プレイヤーには各2枚ずつ手札として配られ、判定ごとに決まった能力値とカード1枚の数字を足して、達成値を導き出します。この数字が、GMが定めた難易度＋山札からGMが引いたカードの数字より高ければ、判定は成功です。

もちろん、GMの数字が上回ったからと言って、それで失敗ではありません。自分や仲間のPCが、同じ数字ないし同じスート（ダイヤ、スペードなど）のカードを持っていれば、「支援」としてそのカードを使って判定に数字を足すことが可能です。手札は一定期間ごとに回復する他、GMの目標値を10以上上回れば「クリティカル」として1枚追加できるので、積極的に狙っていくとよいでしょう。

このマップでできる行動のうち、独特な点がPCのスキルと言える「設置物」です。1人1個まで配置でき、特定の能力判定にボーナスを与えたり、飛行やワープといった移動能力を付与したり、敵にダメージを与えたりと様々な効果を発揮します。設置するたびに、その効果範囲を1～6の範囲で決められるのですが、その分設置判定の難易度は高くなるので、手札や状況を見て設置のタイミングを推し量ることに。設置物はマップに残り続けるので、早めに強力な設置物を置いて広範囲をカバーしたり、その状況だけの使い捨てとして弱い設置物を置くなど、使い分けが重要になります。

このように、マップも使ったボードゲーム要素の強い独特なTRPG作品です。TRPG好きにも、ボードゲーム好きにもオススメします！

本作の公式HPはこちら！ FAQで一部ルール記述の不足もフォローされています