[ゲームマーケット2017神戸新刊]
──ようこそ、人類の瀬戸際へ。
未知の巨大生物『カガナハ』の襲来によって、人類は故郷たる地球を失った。あらゆる物質を崩壊させる『カガナハ』を前に、人類の叡智と栄光は砕け散った。そして時は艦内歴6405年。
人類最後の生存圏、境界面航宙艦リア・ファルを巡る戦いは、今もなお続いている──
本作は、サークル「どらこにあん」が送る、オリジナルTRPG『朱の孤塔のエアゲトラム』の版上げバージョンです(B5版148ページ)。この冊子1冊だけで遊ぶことができます。
本作のプレイヤーが担当するのは、人型兵器エアゲトラム操縦士、そしてパートナーたる教育担当官の両方。プレイヤー人数分のペアが連携しながら怪物と戦い、人類の生存圏を守るのです。ただ、この過酷な戦いを強いられる中で、操縦士も担当官もさまざまな歪さを抱えています。単に強くなるだけでなく、ペア同士のコミュニケーションもまた勝利には欠かせません。
セッションの流れは、プレイヤーごとにシーンを展開するシーン制で進みます。エアゲトラムに適応するため、パイロットは身体に障害を持ちます。教育担当官はその介護役でもあるのです。彼らの日常的な交流を描くほか、一巡するごとに索敵シーンがあり、接近する脅威の情報を引き出すことができます。
肝心の戦闘は、「ダイアクロックマップ」というダーツボードのようなマップを使用。巨大なカガナハが中心に存在し、その周囲をPCの機体が飛び交うイメージが表現されています。
戦闘ルールはカウント制で、1ずつ減っていくカウントと同じ行動力の機体が行動。その行動内容によって行動値が減り、また同じカウントが来るのを待って行動、という順序を繰り返します。このため、敵の行動タイミングや仲間との連携も考慮すれば、常に全力攻撃というわけにはいきません。時に片手の武器だけを、全力ならば両手の武器を連射で使う、のように使い分けをして恐るべき怪物を討ち果たしましょう。
このほか、世界観設定ページも充実。第一版からの積み重ねが全ページに渡って活かされた内容になっています。ロボット物としても、日常と絶望が入り混じる儚い世界の中で紡がれる人間関係のドラマを描くTRPGとしても大変魅力的な作品です。同人とは思えぬ骨太のオリジナルTRPGをぜひお楽しみください。
◆これまでもエアゲトラムを楽しんでいた方向け:主な変更点
〇PCの個性は、「背景設定」表より細分化。性格の傾向や、このハードなSF世界らしい特殊な設定、またゲーム的な効果を持つセンスなどの項目別の表が用意。
〇機体制作ルールでは、パーツの積載重量、アクションランク(行動力)といった掛け算・割り算で算出していた数値は、それぞれ脚部パーツ、総重量だけで算出されるなどシンプルに。
〇武装は、オプションがなくなり、主武装、副武装、背面武装の三種類に整理。背面武装は使用制限が厳しく、強力な兵装。
〇機体制作ルールでは、新たにパーツごとのカスタマイズが可能に。
〇セッションの流れは基本的に同じ。
〇戦闘ルールは、「行動値」が「アクションランク」に変わったことで一部処理が変更しているものの、おおむね同じ感覚でプレイ可能。