［ゲームマーケット2017秋 新刊］

サークル・グループSGRが送る、ソード・ワールド2.0シナリオ集です（B5判94ページ）。

国産ファンタジーTRPGの代表作と言える『ソード・ワールド2.0』は2008年に発売されて以来、今なおサプリメントを出し続ける不朽の名作です。それだけに、10年に渡って刊行されてきた関連作品が豊富なため、今から始めてみたいという方にとっては、どこから手を付けたらいいか戸惑いがちという、ぜいたくな悩みを持つ作品でもあります。

そこで、本当に最小限な『ソード・ワールド2.0 基本ルールブック1』のみで遊べるシナリオだけを収録したのが本作です。単発シナリオ3本、キャンペーンシナリオ1本に例外なし、なのです。そのいくつかを紹介すると、

表題作「ヒーローアドベント」は、冒険者0.9人前というべき初期PCが対象のシナリオ。冒険者を志したPCたちですが、入会金が用意できず足踏みを強いられてしまいます。それでも諦めきれないPCたちの前に姿を現したのが、冒険者の宿に依頼しに来た少年でした。しかし、彼もまたお小遣いしか依頼料を用意できないようで……。

「ビギナーを呼ぶ声」も初期帯のPCが対象のシナリオ。シンプルな討伐依頼の上、敵は倒しやすく、報酬も良い。新米冒険者ならずとも諸手を上げて飛びつきたくなる美味しい依頼ですが……思わぬ事態がPCを待ち構えていました。タイトルの通り、クトゥルフ神話TRPGを思わせるシティアドベンチャーの展開に、プレイヤーは頭を悩ませることになります。

さらに、本作の魅力はシナリオだけではありません。それが「プレイサポート」ページ。公式のサプリメント、リプレイの中でもオススメの作品やその理由をレビューしており、基本ルールブックでハマった新規ユーザーが次に手を伸ばした方が良い作品を例示してくれています。

また、ソード・ワールド2.0のようにデータが豊富だと、PC作成に悩んでしまうのも初心者の常。そこで代表的な種族・技能の組み合わせ、つまりビルドが12種類も解説されています。例えば、人間のファイター・フェアリーテイマー・スカウトなら、どんな戦闘特技や装備がオススメで、今後はどういう育成方法が考えられるのか、具体的なデータの強みや活躍できる場面……といった内容が1ページずつにまとめられているのです。こちらも自分が遊んでみたいPCを考えるに当たって、とても参考になる内容です。

このように新規ユーザーを全力サポートする作品ですが、もちろんシナリオ集としても魅力的なもの。遊び慣れた皆さんにも決して損はさせませんよ！