※2018/08/10にて4版になり、一部のスキル・ルールに調整が入り、さらに遊びやすくなりました。
サークル「グループSGR」が送る、オリジナルTRPGです(B5判94ページ)。
舞台は日本であって日本でない、とある「街」。そこは暴力、策略、金が渦巻く無法地帯です。日本国内でありながら、権力や法律が力を及ぼさず、悪党たちの楽園と化しています。
本作のPCもまたピカロ(悪党)。他者を蹴落とし、時に協力し合いながら、いかに多くの利権を得るかを競います。多くのTRPGにあるヒロイックさは薄く、いわゆるPvP、PC間で対決する要素を含みます。他のTRPGのように遊べない分、それが本作独特の楽しさを生み出していると言えるでしょう。
そのセッションは、前述の通り利権を奪い合うもの。「VIP」と呼ばれる大口のカモから利権を巻き上げることが、セッションでの主な目的になります。VIPがカジノのオーナーなら、土地の権利書や経営権、銀行口座などが利権となります。
ただ、カモ相手とはいえ事は簡単には進みません。PCの中には必ず一人、VIPに雇われた「裏切り者」が混ざっています。導入シーン後にこっそりと伝えられるため、PL本人も自分が裏切り者になるかどうかは、その時にならなければ分からないのです。これがセッションの緊張感を増し、より抜け目ない悪党同士らしい駆け引きを誘発する仕掛けになっているわけです。
セッションはいわゆるサイクル制。PCごとに行動するターンがあり、それが一巡したら1サイクルが経過します。自分のターンには、他のPCやVIPについて情報収集をしたり、財(判定を底上げできるリソース)を稼ぐ「シノギ」、他者を直接攻撃して財や利権を奪う「コロシ」(対象が死ぬわけではありません)、そして共に能力を強化できる「同盟」などの行動が選択できます。他PCと組んでVIPを狙うもよし、突出して利権を奪っているPCの足をすくうもよし。もちろん、PCが裏切り者でないなら、裏切り者探しも欠かせません。
これらを繰り返しながら、VIPの利権がゼロになった段階で、セッションはクライマックスへ。と言っても、このゲームではラスボスとのバトルはありません。代わりに裏切り者探しが行われます。間違ったPCを裏切り者に指定すればその分、内部対立によって利権を失ってしまいます。利権はその数はもちろん、PC間での保有数順位も、成長リソースである「悪名」の入手数に関わってくるため、「街」で成り上がりを志す悪党ならばトップを目指したいところです。
そんなセッションに挑むことになるPCはメインジョブとサブジョブという2種類の職業を選んで作成します。メインジョブは「ヤクザ」「情報屋」「詐欺師」「遊び人」「博徒」の5種類、サブジョブは「格闘家」「インテリ」「女衒」などの21種類。これらの選択によりスキルと能力値が決まります。
判定には6面体ダイス2個を使用。基本的に、「指定の能力値+6面体ダイス2個の出目」で、目標値を目指したり、他者と競うというシンプルな判定になっています。この判定に、スキルや財を駆使して、悪党らしく振る舞いましょう。
ちなみに、サンプルシナリオ3本、リプレイ1本と、GMやPLがゲームをスムーズに遊ぶ為の配慮もばっちり盛り込まれています。
脅したり、騙したり、遊んだり、賭けたり……現代の一般人とも、ファンタジーの住人とも異なる“悪党”が織りなすセッションは、きっと皆さんを病みつきにすることでしょう。悪いものほど美味なものですから。
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