［コミックマーケット96 新刊］

　サークル「シアワセ修練場」が送る、オリジナルTRPGです。

　迫りくる巨大怪獣を、巨大ロボットで打ち砕け！　本作はそんなロマン溢れるロボット物TRPGです。舞台は、現代日本に似て非なる国家「扶桑帝国」。この国に襲来する巨大怪獣は、人体にさまざまな不調をもたらす怪電波を発しており、立ち向かえるのはPCたちしかいません。

　ロボット物というと、データ主体の戦闘ゲームというイメージが強いかも知れませんが、本作は“ナラティブ”──つまりプレイヤーの演出や提案によりバトルを演出するという、一風変わったアプローチをしています。

　このため、判定にダイスやトランプは一切使いません。「脅威度」という数値を比べ合うことで、個人の活躍から巨大バトルまでを一律に扱えるルールとなっています。一般の大人ができることが脅威度にして10。巨大怪獣の場合は、数十万にもなります。この差は、巨大ロボット「フロストギガース」を以ってしても容易には埋まりません。

　そこで重要となるのが作戦や協力です。妥当な作戦が1つ認められるごとに、目標値は1.5分の1に。さらに、味方が持つ脅威度を組み合わせられる他、優れたロールプレイをするたびにもらえるポイントを追加することで、味方の脅威度を高められます。こうして作戦により目標値を下げつつ、最終決戦までにロールプレイを行ってリソースを稼ぎ、自分たちの脅威度も高められるようにする、というのが主なPCの立ち回りになります。

　ただし、慣れが必要な点として、判定にまつわる数値の基準があります。判定の勝利は、能動側が「3.38倍以上」の脅威度を得ること。勘の良い方はお分かりのように、この数値は「1.5の3乗」です。このように本作は「1.5」の乗算・除算が多く使われます。早見表も用意されていますが、小数点を使った計算が苦手という方は、戸惑う場面が多くなるでしょう。

　とはいえ、人間から巨大ロボットまでを同一スケールで処理できるというのは、画期的なポイント。また、脅威度の目安を添えた装備一覧表もあり、スキルやパーツの組み合わせといったデータゲー的な配慮なしに、単に趣味だけでロボットの武装を設定する楽しみも味わえます。これらの要素にビビッと来た方は、ぜひお手に取ってみてください！