[ゲームマーケット2018大阪 新刊]
サークル「針金細工」が送る、同人オリジナルTRPGです。
異能の代償に、異能にまつわる何かを摂取しなければ人の姿を保つことのできない“世界喰らい”──本作は、そんな現実世界には在り得ない怪物のいる世界で、“世界喰らい”と特別な能力を持たない一般人との交流を描くTRPGです。
世界喰らいはその外見も肉体も基本的に人間と変わりません。異能を持つのも後天的なもので、ある日突然に“世界喰らい”として目覚めてしまいます。といっても、その理性に変化はありません。ただ、異能を振るうと、その異能に関連した「第二の食事」を取らずにはいられなくなります。酔いを操る“酩酊使い”なら、酒を楽しむ人々の酔いを喰らうのです。また、公式NPCでは時や空間、別れ、飽食など多様な世界喰らいの存在が明示されています。
この「第二の食事」が、彼らを怪物に変えるリスクでもあります。第二の食事を満足に取れなければ、異能が暴走し、「食欲」のままに生きる怪物と化してしまいます。「餓死者化」と呼ばれるこの現象と、人間を容易く害し得る異能のために世界喰らいは人々から警戒され、迫害されることもしばしばです。
こうした緊張感のある世界が、本作の舞台です。PCは、人間や世界喰らいとなって、世界喰らいを取り巻く様々な出来事に巻き込まれ、あるいは自ら関与していくことになります。「交流を描く」と先述したように、本作には戦闘のルールはありません。それどころか、ダイスやトランプといったランダムなツールも使用しません。
セッションでは、まずセッション全体におけるPCの立場や初期状況、目的などがまとめられた「ハンドアウト」、そしてPCごとが持つ独自の「秘密」が配布されます。これを基にPCを作成。世界喰らいかどうかは、シナリオの指定によります。
そして本格的に動き出したセッションは、プレイヤーが順繰りに希望するシーンを展開できるシーン制で動いていきます。そこでキーとなるのが、秘密と異能。シーンを担当する手番PCは、シーンに登場させた他のPCに秘密の開示を求めたり、自らの秘密を開示できたりします。シナリオで指定されるPCの目的に深く関係していそうな他PCに当たって、目的に必要なピースを埋めていくことになるでしょう。
そして、異能はセッションのストーリーにアクセントを与えます。異能の使用条件は、その効果と同様にシナリオによって指定されており、多くは物語を動かす重要な役割を担います。加えて、異能は使えば使うほど第二の食事への衝動を高めてしまうもの。世界喰らいのPCは、異能を使う誘惑と、自分を脅かすリスクを常に天秤にかけながらゲームに参加することになります。このように物語ることがメインのTRPGのため、同じシナリオでも参加者によって毎回違う物語が展開することでしょう。
こうした独特なルールや世界観だけに、サポートにも紙面が割かれています。プレイヤーとGM双方の視点のガイド、4本のサンプルシナリオは初めて本作を遊ぶ方へのスムーズな導線となってくれるでしょう。開くたびに変化する、喰らう世界の物語をお楽しみください。