サークル「desktheory」が送る、メディアミックス作品「けものフレンズ」の二次創作TRPGです（B6判152ページ）。

　アニメ版では、超巨大総合動物園ジャパリパークを舞台に、神秘の物質「サンドスター」によって動物からヒトの姿に変わったアニマルガール、通称「フレンズ」たちの冒険や活躍、日常が描かれていました。その雰囲気そのままにTRPG化したのが、本作です。

　PCはさまざまな動物を元にしたフレンズを担当。セッションでは導入フェイズで提示されたシナリオの目的達成を目指して、双六のようなエリアマップを進んでイベントをこなしながら、エンディングエリアを目指すという流れに。締め括りには、セルリアンとのバトルシーンや、大きなトラブルに見舞われるハプニングシーンという難関も待ち構えています。

　面白いのが判定方法です。基本は6面体ダイス2つを振るのですが、合計値ではなく1つ1つの出目ごとに成否を判定します。この判定の目指すべき出目の大小が、目的によって変わるのです。例えば「速く走る」「強くたたく」なら目標値以上の出目が、「かくれんぼ」「静かにする」なら目標値以下の出目が成功になります。また、「狙い澄ます」「細かい作業」などならピンポイントに出目1を求められることも。セルリアンとの戦いでは、ゾロ目や連番を求められる場合もあります。

　そんな出目なかなか出ないよ！と思うかもしれませんが、フレンズによってはダイス目を操作する能力を持っていますし、その能力がなくてもフレンズ同士が「手伝う」ことで判定のダイス数を増やすことができるので心配はありません。その他にも、ダイスを振り直す能力や、判定のダイスを増やす能力も豊富に用意されているので、厳しいように見えても「けものフレンズ」らしい緩い難易度設定にできます。

　その他にも、ほのぼのとした原作らしい仕掛けが随所に見られます。PCの能力値は「大きさ」「げんき」の2つだけとシンプルです。フレンズらしいRPや活躍の際には「キラキラ」というポイントをPCに渡すことができ、これがさまざまなリソースに交換したり、特殊能力のリソースになったりします。もちろん「野生開放」や「ジャパリバス」などの原作要素もあり、PCを助けてくれます。

　こうしたルールの内容はもちろん、ルールブックとしても充実しています。サンプルシナリオは2本を収録。NPCのかばんちゃんが鳥らしき影に連れ去られてしまう「さらわれたかばんちゃんを救え」、小鳥からビーバーへの届け物を頼まれる「贈り物を届けに」のどちらも原作テイストたっぷりです。中でも「さらわれたかばんちゃんを救え」はリプレイも掲載。こちらは、サーバル、アライグマ、フェネック、ドードーの4人のフレンズがどったんばったん大騒ぎしながらも大活躍！

　サンプルPCも、リプレイで登場したサーバルたちをはじめ、おなじみのキャラクター12種類を掲載しているので、すぐに「けものフレンズ」ワールドを楽しめます。皆さんならではの「てーぶるちほーの大冒険」、フレンズたちの無限大の物語を楽しんみてでください。