日本美術が、明治時代に西洋からアートの概念のみを輸入したことで、歴史を持たない美術として始まってしまったことを批評した用語「悪い場所」。この概念をもとに創られたのが、本書「悪くない場所RPG」です。

そのタイトル通り、このゲームの目的は「悪い場所」を打ち消すことです。セッションでは、PCがアートスクールの課題をきっかけとして、明治時代以前の日本にタイムトラベルし、日本独自の『アート』をその時代に広めるため頭をひねることになります。アートを上手く広められれば、現代に戻った時に街並みがアートに影響されたものに変化し、美術を継承した「悪くない場所」になっているわけです。

ちょっとTRPGらしからぬコンセプトなのも当然で、本作はもともとアートスクールの卒業制作展用に制作されたもの。美術は知っているがTRPGは知らない、そんな人々に向けてTRPGの楽しさを伝えるために考案されました。

一方で、TRPGとしては色々と不足した内容になっています。購入は悩むけれど作品の内容が気になるという方は、TRPG関連情報サイト「TRPG every day」の記事をぜひご覧ください。制作サークル「打算とも名誉とも無縁なもの」さんの許可のもと、全ページを公開しています。

欠点もありますが、挑戦的な作品です。ご興味が湧いた方は、ぜひこかげ書店からどうぞ！