[ゲームマーケット2019大阪 新刊]
サークル「どらこにあん」が送る、オリジナルTRPGです(B5判)。
医療用ナノマシン技術が発達し、人類が長寿と繁栄を享受していた近未来。その楽園と呼ぶべき世界を破壊したのも、ナノマシンでした。ナノマシンの暴走により人類が次々に機械生命体「害意体」に変性し、同族のはずの人類に襲い掛かったのです。
窮地に陥った人類は、医療用生体兵器であるメディブライドに光明を見出します。彼女たちの血中に流れる特殊な因子が、暴走ナノマシンを破壊できると分かったからです。刀型の白兵武器「B.L.A.D.E(Blood Line Armament Device)」に自らの血を巡らせ、害意体を討伐する彼女らはいつしか、終末を切除する者、「エンデブライド」と呼ばれるようになりました。
本作は、そんなエンデブライドの一生──3年という短くも濃密な時を体験する、1セッション完結型のTRPGです。
その戦いと束の間の平穏で綴られる日々は、「ミッション」という切り口で表現されています。ミッションは、文字通りにPCたちに下される任務のこと。PCは警察組織からの救援要請のような緊急性の高いものから、研修施設からの防衛任務、居住施設の食料品の買い出しまで、さまざまな任務が与えられます。PC2人ずつで参加するため、バディ物のように関係を深めるきっかけにもなります。
PCはシーンごとに、害意体との戦いを描く「コンバット・ミッション」、それ以外の日常の任務を描く「デイライフ・ミッション」が複数提示される中から、演出したい内容に適したミッション=シチュエーションを選択します。複数提示するとなるとGMの負担が重いようにも感じますが、本作ではサンプルミッションを30種類掲載しており、基本的にサンプルだけでセッションを展開できるので安心です。もちろん、エンデブライドに体験させたいシチュエーションがあるなら是非自作しましょう。
こうして3年を過ごしたクライマックスで、PCは世界に終末をもたらすほどの強大な害意体との決戦に挑むことになります。最終戦闘では、エンデブライドが戦場を駆け巡り、害意体と切り結ぶ派手なバトルが繰り広げられます。戦場となるのは、四角形のマス目で区切られた十字型のマップ。中心となる交差点に位置する害意体は、いくつかのマス目に攻撃を仕掛けてきます。
対し、PCは高速斬撃戦闘によって迎え撃ちます。PCはそれぞれの手番で6面体ダイス1つを振り、達成値を追加した判定値の分、マス目を移動できます。この移動によって、害意体のいる中央マスを飛び越えた回数だけ、敵に斬撃を浴びせた扱いに。「武器の威力×斬撃の回数」のダメージを与えられる仕組みです。
もちろん、移動先が害意体が指定する攻撃のマス目だったらダメージを受けてしまいますので、移動の最終地点も考えて斬撃の与え方を考える必要があります。つまり、移動・攻撃・回避が一体となったアクションと言えるでしょう。シンプルながら奥が深いのです。
もちろん、この基本的な攻撃以外にも、支援やさらなる高速移動形態へのシフト、浪漫溢れる必殺技といった選択肢もあります。爽快感も戦術を考える楽しみも味わえるでしょう。多彩な作風で知られるサークルどらこにあんらしい新作。さぁ、エンデブライドの一生(ミッション)を始めましょう!