[コミックマーケット96新刊]
サークル「desktheory」が送る、オリジナルTRPGです(B5判・20ページ)。
──ゆうやけこやけで日が暮れて、空には銀色お月さま。
月明りしかない夜の世界は薄暗く、モノトーンに見えます。本作のPCは、そんな夜の住人である「まもの」。真っ暗だった世界が全てだった彼らは、「ヒト」と出会うことで心に“色彩”を取り戻します。ただ、まものとヒトは相容れぬ存在でした。
本作は、そんな「まもの」と「ヒト」の物語を紡ぐ、ストーリーテリング型・ランダマイザなしの(=ダイスやトランプを使わない)TRPGです。
PCである「まもの」は、ドラゴンや吸血鬼、妖精など思いつくままに設定して構いません。そこで、キーワードとなるのが「色彩」です。PC作成時に、シンボルカラーを1つ、赤、青、緑、白の中から選択。これはPCの魔物としての特徴にもつながります。例えば、赤であれば肉体的に優れたもの──竜や獣人、吸血鬼などのように。人間にも変身できるので、怖い姿でもヒトとのコミュニケーションが制限されることはありません。
PC作成の核でもある「色彩」は、セッション中の判定やロールプレイにも関わる要素です。判定では、行動の種類によってGMから色彩と、その目標値が指定されます。PCがこの判定に成功するには、リソースとして所持している「心の色彩」の該当する色を、目標値の数だけ消費する必要があります。赤であれば勇気が必要だったり、体を動かしたりする判定、青であれば知恵や知識が試される判定となります。
リソースとなる「心の色彩」はロールプレイによって獲得できます。プレイヤーやGMが良いロールプレイだと思ったら、その印象に応じて該当する色を1つ提供できます(自分のリソースは減りません)。つまり、キャラクターの性格や特徴によって、自然と獲得しやすい色が変化し、その個性が自然と強調されるような仕組みになっているのです。
この「心の色彩」は、魔物の特殊能力といえる「魔法」のリソースにもなります。PCは、作成時に選んだシンボルカラーに属する魔法を1つ、習得しています。通常の判定では解決不可能な事態も、魔法があれば解決できるケースも多いことでしょう。さらに、物語の結末を演出する最後の場面では、強力な奇跡を起こす魔法も発動できます。活躍するためにも積極的にロールプレイをしたいところ。
スムーズに遊べるようにサンプルシナリオも収録しています。その「ひとくいまもの」では、PCは人食いのまもの。自分のテリトリーと言える森の端に住み着いた人間に気付いたPC。しかし、人間を食べるどころか、その料理に魅せられてしまって……。
PCは「まもの」として生きるのか、それともヒトとの出会いで芽生えた温かな「何か」を選ぶのか。皆さんのまものごとに生まれる物語をお楽しみください。
ちなみに、本作はふしぎもののけTRPG『ゆうやけこやけ』と、シナリオ互換が可能。コンバートすればサプリメントとしても利用できるので、『ゆうこや』ファンにもオススメです(ルール自体は異なります)。