詳細
●冒険の舞台
「聖珠伝説パールシード」の物語の舞台は、女神様によって創られました。なお、女神様は唯一の存在ですので、名はありません。女神様は世界とともに、ドラゴン族、デーモン族、そして人間など様々な生き物をお創りになりました。女神様の慈愛のもと、皆は仲良く暮らしておりました。
ですが、あるとき、女神様が姿を消しました。ドラゴン族、デーモン族という二大勢力は互いに女神様がいなくなった責を責め合い、やがて戦いを始めました。か弱き人間はその争いの巻き添えにならぬよう逃げ惑うばかりです。
そんなとき――世界中で真っ白な石が見つかるようになりました。
パールシード想像写真
この意志の力を用い、守りをかためることができた人間もいました。ですが、力に溺れ、破滅した者もたくさんいたといいます。
そして、この力ある石をめぐり、人間だけでなくドラゴン族、デーモン族の軍隊も争い出しました。今では《パールシード》は奪われぬようひっそりと隠し持たれるようになっています。ですが、未だに時折《パールシード》は発見され、争いを引き起こしています。
人間たちは隠し持った《パールシード》の力を借りつつ、ドラゴン族、デーモン族という二大種族の争いの緩衝地帯で細々と生き長らえ続けています。
そんな世界の端っこで、プレイヤーたちの受け持つキャラクターたちは冒険に出るのです。
●どんなゲーム?
人間の冒険者として、ダンジョンに挑むスタイルのTRPGです。なお、ダンジョンといっても迷宮だけではありません。城郭、森林、飛空城塞、時空のはざま、巨大生物の消化器官など、冒険者が挑むところ――そこがすべてダンジョンなのです。
本作はアクトロール・システムが採用されています。
このシステム下では、ゲーム中で成否、成功度合いを決める必要があるときには、サイコロを振り、汎用行動、戦闘、魔法など様々な行動ごとに準備されたマ トリクス(判定表)を参照します。サイコロの出目とキャラクターや行動による修正値の合計に応じ、マトリクスは成功度合いを教えてくれるとともに、どんな 成功度合いだったのかを描写テキストで教えてくれます。「っと、成功したと思ったのに、周りが気になって失敗してしまった」のような感じです。
こういった描写テキストの提供により、プレイヤーは自らの受け持つキャラクターの描写のヒントを入手し、活き活きとしたキャラクターを演出しやすくなります。
本作はキャラクターの表現要素を減らし、冒険の舞台をダンジョン推奨に絞り込むことにより、戸惑いにくく遊びやすいものにまとまっています。
想像してみてください。食事をとろうと思って入った店でメニューが200頁もあったら迷ってしまいますよね? かけうどん、ざるうどん、たぬきうどん、 わかめうどんの4種類しかない店のほうが迷う時間は少なくていいですよね? そういうように遊びやすい量に絞り込んでいます。
それにより、プレイ時間30~3時間を実現しているのです。
○温故知新……
「聖珠伝説パールシード」については、次のような紹介が作品の外側で行われていました。
会話型RPGはゲームマスターと呼ばれるルール管理役と、冒険者を演じる数名のプレイヤーとで、ファンタジックな空想体験の冒険を楽しんでゆくゲームです。
あるときは迷宮、ある時は城郭と様々な危険をくぐり抜け、判断力と勇気、友情と正義とで勝利を勝ち取るのです!
簡単なルールと8つの冒険シナリオが用意されており、どこでも誰とでも、そしてすぐに遊ぶことができます。さらにプレイ・バイ・フォンやパソコン通信といった新メディアのゲームにも適しています。
「聖珠伝説パールシード」箱裏から
(「聖珠伝説パールシード復刻版」裏表紙にも収録)
1992年発行当時と情勢が変わり、わかりにくいところがあるかもしれません。
最初の一文を言い換えると次のような感じになるでしょう。
「聖珠伝説パールシード」は描写(アクト)とサイコロを振る判定(ロール)が結びついたシステム――アクトロール・システムを使用した全く新しいタイプの会話型RPG(TRPG)です。
そして、最後の文の「プレイ・バイ・フォン」「パソコン通信」が肝です。
「プレイ・バイ・フォン」とは、複数の電話回線をつないで複数人で通話するサービスを使って電話でTRPGをするということです。今のボイスチャットを画面表示なしでやるようなものです。頼りは声だけ――というプレイ環境です。
「パソコン通信」は今よりも遅い通信速度の回線での文字だけチャットを想像していただければだいたいあってそうです。
1992年発行のこのゲーム――、今のボイスチャット環境にも、テキストチャットでも遊びやすそうな気配がしてきませんか?