[コミックマーケット95新刊]
サークル「なっぷザック」が送る、オリジナルTRPGです(B5判・152ページ)
本作を一言で表現すれば、浮遊する船「フライシップ」で雲海を旅し、海賊や敵国と渡り合う冒険活劇を楽しめるTRPGとなります。そのタイトルであるスカイヴァティアーズは、スカイ(空)とプライバティアー(私掠船)を組み合わせ、「空の私掠船」を意味する造語なのです。
タイトルに“スカイ”を冠するように、このTRPGの舞台は空。大地はなく、雲海に浮遊島が漂う世界です。この地にはかつて我々人間と似た「ニンゲンびと」が住んでいましたが、強い毒が漂う世界にフタをするように雲海を広げた後、姿を消してしまいました。後に残されたのがニューレイスと呼ばれる、ケモノびと(獣人)やロボびと(機械生命)。彼らによって、フライシップをはじめとする新たな文明が築かれて今日に至っています。
船乗りの一員であるPCには、以下の4つの役職があります。
・移動し続ける船と島の位置を的確に把握する「航法士」
・船の操舵のほか、戦闘における隊長の役割も担う「甲板士」
・船にかかる金銭や設備の管理、炊事洗濯などの指揮もとる「主計士」
・船を浮遊させるために欠かせないエーテル式蒸気機関を取り扱う「機関士」
これらに加え、先述の種族、さらに守護星座によって能力や特技(スキル)を決めるのが本作のキャラクターメイキング。海洋冒険モノらしく、私掠船としての目的や、船に乗り込んだ経緯を決めるチャートもあるので、PC作成をすれば自然と海洋冒険モノらしい雰囲気が盛り上がってくるでしょう。
これらの力を結集しして、スカイヴァティアーズはさまざまな冒険に挑みます。新しい島の発見は、その1つ。今までにない資源や技術を見つければ、交易で莫大な資産を生むことも。国家も多額の報奨金を用意しています。ただ、この世界の島はいずれも浮遊しており、惑星のように移動する他、雲海や気象といった自然的な障害も多く、ハードなミッションになります。
もちろん私掠船だけに、戦闘も飯のタネ。賞金首となった海賊以外にも、食料強奪や人さらいをする敵国サイヴェリアの鉄船、全長1kmを超えるものもいる空を飛ぶ魚“空魚”など、敵には事欠きません。
これらの苦難を乗り越えるためにPCが行う判定は、ダイスとカードを組み合わせたもの。複数の6面体ダイスを振り、目標値以上の出目のダイス数が、成功基準を上回れば判定に成功する仕組みです。面白いのが、戦闘を含むすべての判定が基本的にこの方法で処理されること。戦闘だからといって独自のルールを使うわけではないのです。
また、カードは「物理手段」「環境利用」「精神交流」「構造解析」の4種類があり、同じ判定でも解決手段に違いが現れます。敵を倒すという同じシチュエーションでも、剣や銃で物理的に倒したり、地形を利用して不意を突いたり、上手く説得して戦意を失わせたりなどと過程に変化が生まれます。PCによって得意な手段が異なるので、このカード選択もキャラクターらしさにつながります。
カードは公式サイトからPDFをダウンロードして印刷できる他、トランプでも代用可能です。しかもキャラクターシートにその内容が記載しているので、都度ルールブックを見返すといった手間も心配無用。
さぁ、船に乗り込む準備はできましたか? チョイ悪な私掠船の一員として、広大な雲海へと乗り出しましょう!