※ゲームマーケット2019春の増刷版です。誤字などが修正されておりますが、基本的な内容に変更はございません。
[ゲームマーケット2018秋 新刊]
サークル「金星楽団/コトノハゲームズ」が送る、オリジナルTRPGです(A5判28ページ)。
“魔女”は魅力的なテーマです。近年もtwitterで「#魔女集会で会いましょう」タグを契機とした創作が次々に生まれるなど、今なお我々の心を捉えて離しません。本作は、そんな魔女になって、依頼人の願いを魔法で叶えるというTRPGです。
世界観は決まっておらず、依頼人もまた時空を超えてやってきたことにしても問題ありません。セッションは、そんな多彩な依頼人の願いを軸に、進みます。
例えば、継母や義理の姉に虐められる女の子が、舞踏会に行ける姉たちのように美しい靴、ガラスの靴=「ガラスノクツ」を願った、としましょう。これを本作のセッションシートにあるマス目欄に縦に書き込みます。PCはこの願いを叶えるための魔力の源、魔法素を願いのどれか1文字に絡める形で決めます。ガラスノクツの「ガ」に絡めて「オレ“ガ”ノ」、「ノ」に絡めて「ノーム“ノ”サケ」といったようにです。
魔法素の言葉は、文字数が多いほど強力になりますが、その分用意するのが大変です。本作は1組のトランプを使うのですが、文字数の数だけ場にカードを用意しなければなりません。PCの手番は朝・昼・夕の3回。「ウィッチクラフト」という行動を選択すれば、自分の手札のカードを1枚、場にセットできるのですが、全部の行動をウィッチクラフトにしたとしても3枚分にしかなりません。
そんな魔女の魔力素集めを助けてくれるのが「アプローズ」というルール。拍手・喝采という意味の通り、他のプレイヤーの魔女の行動が素晴らしいと思ったら、自分の手札を1枚、相手の場にセットできます。この時、美しいと思ったならダイヤ、怖いならスペードというようにスートによって評価の理由が変わります。このスートが表す評価は、最後に協力して生み出す魔法の効果にも影響するため、結末も意識しながらロールプレイすると、より奥行きの深いゲームとなるでしょう。
肝心の主人公となる魔女は、能力値に決まった数値を割り振る他、6面体ダイスを振るだけで簡単に作成できます。イメージカラーや魔女の力の源、魔法の使い方、魔法を使う理由、ファミリア(使い魔)など、豊富な設定がロールプレイのきっかけになってくれるはず(と言いますか、PC作成だけで想像が広がって、楽しいです)。
多彩な魔女と魔法が交差する「クロスマジック」が生み出す物語を、ぜひ紡いでみてください。プレイ時間も30分~45分と短いため、手軽に遊べる点でもオススメです。