サークル「シアワセ修練場」が送る、オリジナル同人TRPGです(B5判/88ページ)。本作を簡単に表現するなら、ゼロ戦のような戦闘機のパイロットとなって戦うTRPGと言えるでしょう。
本作は、第二次世界大戦をモチーフとした、同人空戦TRPG『ファントムズ・スカイ』をバージョンアップした新作です。ただし、時代は前作より進んでいます。第二次世界大戦後──日本をモチーフとした扶桑帝国が米国との戦争を講和で決着させたことで、南東アジア諸国が独立し、各地で新たな戦争の火だねが生まれた世界が舞台となるのです。扶桑帝国製の航空機が各地に流れ、新興政府はもちろん、民間や空賊も戦闘機を乗り回すように。
そんな我々の世界と異なる「戦後」で、PCは傭兵である「亡霊航空隊」として、各地のトラブルに介入・参戦することになります。
もちろん、変化は時代だけではありません。ルールやデータはより遊びやすいように、ブラッシュアップ。デザインも洗練され、読みやすくなっています。
基本的な判定は2D6で、成功目標値は9。当然、これだけでは成功度が低いのですが、ロールプレイや提案で有利にできます。例えば、準備を整えて(+1)、天然の要害にこもり(+1)、人工構造物を建て(+1)、事前に高いところから偵察し(+1)……と状況を変えていけばいいのです。
また、本作の目玉となる空戦は、リアルながらシンプルなルールで表現されています。基本的に攻撃できるのは、イニシアチブ(主導権)を取った陣営だけ。このイニシアチブは、会敵前なら「索敵」で、会敵後なら「速度」によって決定します。ただ、索敵は機体の視程値に影響を受け、速度は機体のリソースであるエンジン出力を消費することで加速できます。単に機体のステータス=優越とならない仕組みになっています。
イニシアチブを決めた後、それぞれが行動を決め、敵味方の行動内容を同時に公開して処理に移ります。主導権を失った側も、次のイニシアチブに備えて速度を高めたり、敵の攻撃を回避すべく機動を高めたり、高度を上下したりするなどの選択肢があり、駆け引きが重要になります。
時代が進んだことで、選べる機体には、第二次世界大戦時の複葉レシプロ機、レシプロ機に加え、ジェット機も加わりました。掲載している機体データは34種類と豊富ですが、さらに実在の戦闘機のデータから、新たな機体データを作成するルールも収録しています。新たな空戦時代の幕開けを、本書と共にお楽しみください。