[コミックマーケット94 新刊]
サークル「闇月刹那」が送る、オリジナルTRPGです(B5判168ページ)。
美しい少女が対峙するのは、人の魔力を吸う異形の怪物。戦いの余波で街が吹き飛び、崩れた建物の中から敵が飛び出す──そんなド派手なバトルを、格好良く楽しもうというのが本作です。
舞台となるのは、現代社会にある架空の町、美柳戯町(みやなぎちょう)。この町の平穏を脅かしているのが、魔力によって構成された異界の存在「カゲツミ」です。その元凶は、人間を含む生き物から魔力=生命力を奪おうとする捕食者「影罪」。ただ、同じ異界からやってくる影罪の狩人「影摘み」もおり、時に人間に助力してくれます。
ただ、本作は彼ら「カゲツミ」同士の戦いで終わるほどシンプルではありません。この世界では、鬼や天狗といった人外の怪物「TR(トランシルヴァニア)の住人たち」と呼ばれる存在もおり、圧倒的多数を誇る人間の目を避けて暮らしています。また、カゲツミの魔力を受けて、同様に魔力を操る人間も現れています。
このため、敵となる影罪らに対し、人間や影摘み、TRの住人たちが協力して戦い、町を守るというのがセッションの基本的なストーリーになります。
前述したように、本作を特徴づけているのはド派手なバトルです。攻撃に成功すれば敵が吹き飛び、そのエリアによって建物にめり込んだり、走り抜けようとした電車に衝突したりしかねない。そんなバトルを表現するのが「エリアカード」。攻撃が成功した場合、ダメージを与えるのに加えて、カードを1枚引き、防御側が吹き飛ばされた地形を決めます。この地形によって様々な特殊効果やダメージの変動が起こる仕組みです。さらに必殺技や合体必殺技、超必殺技など格闘ゲームのように派手な攻撃もあり、戦闘状況は目まぐるしく変化します。
加えて、前述の通り、PCとなりうるキャラクターが多いだけに、データリッチなゲームでもあります。能力値や立ち位置を決める「種族(ゲノム)」、戦い方を左右する「戦闘流儀(スタイル)」、さらにキャラクターの長所をデータ的に表現した「特徴」(装備も含む)の3つを組み合わせてPCを作成。多様なキャラクターを生み出せるのです。
なお、サンプルキャラクター6種類、サンプルシナリオ1本も収録されており、入手してすぐに遊ぶことも可能です。
粗削りなところはありますが、サークルの好きな要素を詰め込んだという勢いを感じる作品です。ド派手なバトル物が好きな方は、ぜひお手に取ってみてください!
なお、カードは掲載ページを印刷して切る必要がありますが、製品版カードセット『カゲツミ ゲームマスターブーストパック』もすでに用意されています。こちらがあれば準備する手間も省け、よりスマートに『カゲツミ』を楽しめるでしょう。