サークル「ZQワークス」が送る、『新クトゥルフ神話TRPG』向けの現代的演出・描写集です（B5版・40ページ）。

セッションでのキーパーの説明は、コズミックホラーという独特の世界観が魅力のクトゥルフ神話TRPGだけに緊張感や盛り上がりを左右する重要なポイントと言えます。ただ、シナリオでよく登場する超常的存在の描写はパターン化しやすく、劇的な破滅もありふれた死に変えかねません。そんな悩みを解消できるのが本作です。

深きものや食屍鬼、ミ＝ゴなどの怪物から、魔術や魔導書、亡霊といった諸要素まで18項目について、演出と描写をまとめています。項目ごとに、怪物の存在を匂わす「前兆」、怪物が近くに居る時の「気配」、怪物を目の当たりにした時の「印象」、怪物と戦ったり逃げたりする際の描写として「行動」を説明。例えば、食屍鬼の「前兆」であれば、風や動物の反応、陽光、死者の傷……といった具合に、たっぷり11もの描写例が紹介されています。

単に描写例にとどまらず、シナリオフックとしても有用です。特に「行動」の項目の多くには、探索者がリアクションとして判定できる技能ロールの例と注釈も添えられており、スリリングなシーンを展開するのに役立つでしょう。

もちろん、TRPGサークルとして著名なZQワークスだけに、クトゥルフ世界のイメージを深める読み物としても楽しめる内容になっています。より雰囲気あるクトゥルフ世界を演出する一助としてオススメです！