［コミックマーケット94新刊］

※C93で頒布された作品が、C94で版上げされました。ルールに変更はございません。エラッタの適用、DTPのブラッシュアップが加えられ、より読みやすく、分かりやすくなりました。

　サークル「CLOSS」が送る、オリジナルLARP（ライブアクションRPG）ルールブックです（B5判126ページ）。

　国内最大級のLARPサークル「CLOSS」が、その豊富なLARPセッションの開催経験を注ぎ込んだのが本作です。LARPは、自分がTRPGのキャラクターに扮して、実際に体を動かし、演技をしてシナリオに挑むという、まさに“五感で味わうRPG”のこと。今や、CLOSSをはじとする複数の団体が、国内各地でLARPセッションのイベントを開催し始めるなど、非常に盛り上がってきているゲームジャンルなのです。

　本書を使えば、馴染み深い中世西洋風ファンタジーを土台としたオリジナル世界ステラミラの住人となって、さまざまな難問や戦闘が待ち受ける冒険を楽しめます。

　LARPでもPCを作成することはTRPGと変わりません。本作では、人間とほぼ変わらないソラールやエルフ、ドワーフをはじめ、鬼に似たウズルや獣人など9種類の種族と、戦士や魔法使いなどのクラス6種類を組み合わせて、多彩なキャラクターを作成できます。

　TRPGと違うLARPらしさを感じるのがスキルです。スキルごとに、実際に行う動作などが書かれており、基本的には宣言するだけでは発動しません。

　例えば「追跡」スキルは、地面などの痕跡が残っている場所に軽く触れて、調べる演技を行いつつ、スキルの使用を宣言することになります。

　また、魔法では、スペルごとに詠唱する呪文と動作が決まっています。例えば魔法使いが使う詩編魔法のノヴァ・ミサイルは、「マジカ・ヴォランス・フォスティウム」という呪文を唱えながら、柔らかいボールを敵に向かって投げつけることで、魔力を叩きつける攻撃呪文として効果を発揮します。

　こうしたLARPのキャラクターももちろん成長していきます。セッション後に得られる「功績点」を使って、新たなスキルを習得したり、スキルレベルを上昇したりできるのです。この功績点が一定数以上になれば、クラスごとに定められたスピードでHPもアップ！（MPは関連スキルのレベル合計などでアップ）。

　これだけキャラクターを作ったら遊んでみたいところですよね。本作では、サンプルシナリオとして、山賊に襲われる村を救出しに行く「山賊たちを撃退せよ！」、辺境の村で起こる行方不明事件の調査を依頼される「闇蠢くものたちの狂宴」の2本を収録。いずれもTRPGのように物語の展開や戦闘などのイベントに加え、LARPとして遊ぶために何が必要で、室内などの会場をどう使うべきかが説明されています。友人同士で初めてLARPに挑戦してみようという方も、安心して遊べるでしょう。

　もちろんオリジナルシナリオの作成方法や、舞台となるステラミラの世界設定も丁寧に解説されています。至れり尽くせりの本書と共に、体を動かし、五感で体験するLARPの奥深い世界へ飛び込んでみませんか？